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2009年5月26日火曜日

わたしが子どもだったころ(5)

私の四歳か五歳の頃、岡山に戻った私には悩みの種が出来た。

それは近所に飼われていた白い猫だった。

ある日、道端でその猫とバッタリ出くわした。その瞬間、猫と目が合った。猫は威嚇の唸り声を上げた。私は怖くなって道の端に避けた。すると猫は満足そうに道をゆっくりと通り過ぎていった。そんな事が三回くらい繰り返されただろうか。わたしはすっかり猫恐怖症になっていたし、猫おろか人に対しても目を見るという事に恐怖を感じるようになっていた。

そんなある日、一方が50センチメートルくらいの高さの切り通しになっている細い道で猫と出くわした。猫を避けるのは無理と判断した私は逃げようとした。その瞬間、猫が襲いかかってきた。猫がいわゆる三角飛びをするのを見たのはそれが最初だった。猫は走りざまに切り通しの崖にジャンプし、そこからさらに私の首めがけてジャンプした。逃げようと体を動かしていた私は辛くも猫の攻撃から首を守った。攻撃の的が外れた猫は私の胸の辺りにぶつかった。それ以後の記憶は無い。

それから何故かその猫を遠くに見る事はあってもいきなり道端で出くわす事は無くなった。

後年、テレビの中の近衛十四郎演じる素浪人月影兵庫は猫が苦手で猫を見ると逃げていた。私は内心、やっぱり仲間がいたんだと思ってひどく安心した覚えがある。

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